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生徒の”やりたい”を実現 SHIPが広げる学びの世界
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静岡県が運営するイノベーション拠点「SHIP」では、地域における起業支援や新規事業開発、DX支援、
デジタル人材やイノベーション人材の育成を目的とした多様な支援を行っています。
本シリーズでは、SHIPを活用し成長・発展を遂げた起業家や企業、プロジェクトの事例を通じて、
SHIPが果たす役割と効果をご紹介いたします。
皆さまの今後のSHIP活用のヒントになれば幸いです。ぜひご覧ください。
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2025年1月、静岡聖光学院でVR空間作成の体験会を行いました。講師を務めたのは、
インターンシップでSHIPに来ていた静岡理工科大学の学生、五味和也さんと脇坂泰清さんです。
体験会では静岡聖光学院自然科学部プログラミング班の方々を対象に、点群データの取得と
VRの作成方法を指導、実際に対象物の写真撮影とデータ化を行っていただきました。
今回、体験会に参加したプログラミング班の小西さん(高校一年生)と
島村さん(中学三年生)に、体験会の感想や活動内容について伺いました。
また、静岡聖光学院の職員である武田光一郎さん(事務次長 視聴覚ICT)と
秋本裕太さん(入試広報副部長 数学科教諭)に、SHIPに依頼した理由や
今後のビジョンについて伺いました。
体験会により活動の幅が広がった
(左:島村さん、右:小西さん)
小西さん:
体験会ではまず、Scaniverseというソフトを使って、対象をさまざまな角度から撮影しました。
たとえば、教室の机やベンチなどを撮影すると、それがスマホ上に3Dデータとして表示されるんです。
これがなかなか難しかったです。最初は撮影した物が像を結びませんでした。
でも、お二人からコツを教えていただくうちに、徐々に鮮明に映るようになっていきました。
取得したデータはUnityで編集して、さらにメタバースプラットフォーム「cluster」でVR空間に配置します。
ただ今回は、機材トラブルへの対処で時間を取られ、最後まで行うことができませんでした。
それでも、VRのノウハウをたくさん吸収できたと思います。
これまでもVR空間の作成には興味はあったのですが、機材やノウハウがなかったので、挑戦できずにいました。
それも今回、SHIPさんが協力してくださって夢が実現しました。
おかげで、活動の幅が広がりました。
島村さん:
小西さんも言っていたように、最初は写真が上手く撮れなかったんですが、「この角度から撮った方がいいよ」
のようなアドバイスをしてもらって、徐々に慣れていきました。教え方も丁寧で、とても優しかったです。
データを正しく取得できるようになったときには、大きな達成感を感じました。
おもてなしロボットを開発したい
小西さん :
自然科学部は4つの班に分かれて活動を行っています。
ロボット班、プログラミング言語班、ゲーム班、Webデザイン班です。
僕はその中のゲーム開発班に所属していて、Unityというソフトを使ってゲームを作っています。
入学当初は、それほどプログラミングが得意だったわけではありませんが、先生や先輩たちからの
指導のおかげで今ではだいぶできるようになりました。先生に気軽に質問できたり、
先輩後輩関係なく交流できるプログラミング部の環境はすごくいいなと思っています。
島村さん:
僕はプログラミング言語班に所属していて、micro:bitというキットを使って物を運ぶロボットを作っています。
まだまだ開発途中ですが、いずれは「おもてなし」をするロボットを開発したいと考えています。
両親から「ロボットを作れる部活動がある」と教えてもらって、プログラミングに興味を持ちました。
ただ、入学当初はそれほどロボット開発が盛んではありませんでした。
作成キットに問題があったからですが、最近新しいキットが導入されたおかげで活動が活発になりました。
学んだスキルで情報発信を強化
小西さん:
自分たちが持っていないような情報や技術をご教授いただける機会は、本当に貴重だと感じています。
次は教わったことを生かして、外部に向けた情報発信にも取り組んでいきたいと考えています。
ぼくたちはVRプロジェクトも参加しているので、この技術を使えば「学校をVR化する」ということもできます。
そうした取り組みを通じて学校のPRができればと考えています。
島村さん:
自分にはまだまだ学ぶべきことが多いと感じています。これからも学びの機会を大切にし、
少しずつスキルを身につけていきたいと考えています。
SHIPの体験会が学びをサポート
武田さん:
SHIPの方々に相談させていただいたのは私です。
もともと私の上長が静岡県の産業イノベーション推進課の方とつながっていたことで
SHIPのことが話題に上がりました。そこで、「一度見てみようか」ということで、
上長と一緒に伺ったのがきっかけでした。
SHIPでは少し前にも登呂遺跡でVRのワークショップを行っていたとのことで、この度
プログラミング班でも、同様のワークショップを開催していただけることになりました。
生徒たちには非常に良い経験になったと思います。
秋本さん:
弊校では以前から、NTTの提供する仮想空間プラットフォーム「Door」を使って3Dモデリングを行っていました。
生徒自らオリジナルの3D空間を作って、それを文化祭で発表したり、小学生向けの体験会に活用していました。
その操作説明もすべて生徒たちが行っており、技術面のスキルだけでなく、説明力や
コミュニケーション力も養うことができ、大きな学びとなっていたと感じます。
文化祭のVRプロジェクトは、この活動がきっかけで生まれました。
ところが2025年3月にDoorのサービスが終了してしまうということで、今後、どのように
活動していこうか悩んでいました。代わりに別のソフトを導入することも考えていましたが、
ノウハウがなかったため少しハードルが高いと感じていました。
それも、体験会の中で触れさせていただけたことでスムーズに移行ができました。
今ではみんな、Unityやclusterといった新しいソフトを当たり前に使いこなしています。
やりたいことを見つけるのに最適な場所
武田さん:
最初、SHIPを訪れるのは教員だけでしたが、「生徒にとっても良い刺激になるだろう」と考え、
その後はITに興味を持つ生徒たちも連れて伺うようになりました。
今では、AR・VRに関心を持つ生徒が自主的にSHIPに通い、専門的な知識を持つ方々から
直接お話を伺うまでになっています。
SHIPにはIT分野だけでなく、さまざまな専門知識を持つ人たちが集まっています。そうした環境だからこそ、
生徒たちが自分のやりたいことを見つけるのに最適な場所だと感じています。
たとえば以前も、株式会社ラーニングライトの中村さんと名刺交換させていただきました。
中村さんは生成AIの専門家で、SHIPでも生成AIの講習会を行っています。
私も何度か参加させていただきました。
生徒たちはまだ日程が合わず参加できていませんが、オンラインで
中村さんからレクチャーを受けたりしています。
生成AIの技術は、生徒たちの探究学習をサポートする大きな力になると思っています。
「もっと活用してみよう」という気持ちを持てるような機会を、これから増やしていければと考えています。
他にもSHIPを通じて、3D Labo.さんともつながることができました。
3D Labo.さんは、3D技術の習得や交流ができる七間町のコミュニティ拠点です。
プログラミング部の活動のことで相談したところ、「学校教育のためなら」と快く
ご協力いただき、高価な機材で学校を撮影、3D空間の作成まで行ってくださいました。
現在は小西君と島村君を中心に調整作業を進めており、完成間近の段階まで仕上がっています。
これもすべて、SHIPとの出会いのおかげです。
外部とのつながりで生徒の「やりたい」を実現する
秋本さん:
今回のようにSHIPの方々とつながって、生徒たちの学びが広がったのは、
非常に大きな一歩だったと感じています。
現代の教育現場では、子どもたちが自ら課題を見つけ、その解決策を主体的に考え、行動できる
力が求められるようになっています。かつてのように筆記試験で点数を取ることだけが重視される
時代とは異なり、いかに柔軟に物事を考えられるかが大きな鍵となっています。
しかしながら生徒一人ひとり、性格や興味の対象は異なります。
そうした多様な生徒たちの能力を育てるには、一律のカリキュラムだけでは対応しきれません。
私たち学校にできることは、能力を育むための「きっかけ」を与えることです。たとえば、部活動や
総合的な学習の時間を通じて、自ら学びたくなるような刺激や体験を積極的に与えていきたいと考えています。
ロボットづくりや3D空間の制作といった活動も、その手段のひとつです。体験を重ねる中で、
生徒たちが「これをやりたい!」と思えるものを見つけてくれればと願っています。
ただし、それを学校だけで完結させるのは難しいのも事実です。だからこそ、外部の専門家や施設とつながり、
生徒のやりたいことをどう実現させていくかを一緒に考えられる学校でありたいと考えています。
中高一貫教育が視野を広げる一助になる
秋本さん:
自身のやりたいことや進路を考えるにしても、経験していないことは候補に挙がりにくいでしょう。
そういった意味でも、中学生の段階でプログラミングや3Dモデルなどに触れておくのは、
視野を広げる一助になります。また将来、本格的に打ち込みたいと思ったものができた時に、
一歩を踏み出すきっかけになることが期待できます。
弊校の特徴の一つである中高一貫教育は、そうした取り組みを後押しする環境であると考えます。
中学卒業時に高校受験がないため、成績や試験のプレッシャーにとらわれず、興味のあることに
思い切り打ち込むことができます。
その結果、中学生のうちに積み重ねた体験が、高校生になってから
「どの道に進もうか」と悩んだ際の大きな糧になります
私たちの活動が、子どもたちの可能性を広げ、未来への選択肢を増やすきっかけとなることを願っています。
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